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教員推薦図書

法学部では、学生の皆さんへ各教員からお勧めの一冊を紹介していきたいと思います。

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「権利のための闘争」を読む

 イエーリング/村上淳―訳『権利のための闘争』(岩波文庫、1982年)の優れた解説書。本書により、Recht(法=権利)とはなにかを歴史的観点から学び、あわせて大学における人文社会学系の学問がいかなるものかを味わってもらいたい。
(紹介文:亀岡 倫史)

グロティウス(人と思想178)

 著者もそのあとがきで言うとおり、グロティウスは、高校の教科書では「国際法の父」であると紹介されてはいるものの、その数奇な生涯(たとえば、ある城に幽閉されていたが、、大きな本箱に身を隠し脱出に成功)や多方面にわたる業績(たとえば、彼が主張した海洋における航行・交易の自由は、こんにちの公海自由の原則につながっている)は広く知られているとはいえない。国際法・国際政治のみならず欧州の歴史に興味があるひとにとっても必読の書であるといえよう。
(紹介文:川﨑 恭治)

オリエンタリズム 上下

 本書は、「私たち」が他者あるいは異文化とみなすものが、どのように形成されているのかを考えさせてくれるとともに、それが自己の形成といかに深く結びついているかにも気づかせてくれます。サイードのポストコロニアル理論は、1978年の原著出版から非常に多岐の分野に渡って強い影響力を与えており、今日では多くの学術分野において不可欠のものとなりました。幅広い教養に触れ、批判的な思考を鍛錬したい人におすすめします。
(紹介文:佃 陽子)

ツァラトゥストラはこう言った(上・下)

 ニーチェが「超人」,「神の死」,「永劫回帰」といった言葉で告発した道徳の欺瞞,権威の不在,ニヒリズムは普遍的なものです。生きること自体が一つの病であり危機であるならば,人はどのように人生と世界を肯定できるのか。「ツァラトゥストラ」はそうした根本的な問いを投げかけるものです。与えられた価値から自らを解放し,疑いつつ,自律的な思考を試みる。それが学問の本質であるならば,この書は今なお私たちにとって大きな指標であります。
(紹介文:日名 淳裕)

文明崩壊:滅亡と存続の命運を分けるもの

 マヤ文明やイースター島、現代中国までも含めた古今東西の事例を取り上げ、文明崩壊の原因について縦横無尽に語る本。食糧不足や環境破壊、戦争といった様々な問題を考えるうえで、私たちは過去から何を学べるのか。分厚い書物ではあるが、読み始めたら止まらない。今後の地球を考えるためにも、卒業までにぜひ読んでほしい本である。
(紹介文:福田 宏)

日本の国会―審議する立法府へ

 法律が生まれる場である国会。しかし、日本では、言論の府たる国会の審議が空洞化していると指摘されてきた。このような現状がなぜ、どのように生まれたのか。充実した審議を行うために国会を改革すべきか、改革はどのようなものであるべきか。本書を読んで改めて考えたい。
(紹介文:森永 淑子)

火車

 法を学ぶとは、社会で起こっている様々な事象を法の目を通して学ぶことです。一見すると、法は面白みを欠くものかもしれません。しかし、現実社会の営みと結び付くことにより、その印象は変わるはずです。本書は、消費者信用に関わる本質的問題を提起するとともに、戸籍、破産といった法制度を絡めながら、最後まで読者をその世界に引き込むミステリーです。本書を通して、法と社会の関わりの一端を覗いてみてください。
(紹介文:山本 弘明)

これまでの教員推薦図書

自由論

 社会や政府による個人の生活への干渉は、どのような場合に許容されるべきか。どのような場合に禁じられるべきか。なぜ言論の自由や思想の自由を保障することが重要か。市民革命を経て、議会が政治の中心となっていった19世紀のイギリスにおいて、政治が多数派の意思によって主導され、それによって、少数派の利益が見過ごされることを「多数者の専制」と呼び、その難点について論じた、自由主義思想の代表的な古典です。
(紹介文:浦山 聖子)

『エチカ』(上下二分冊)

 「何者かが薄暮のなかで神を築き上げる/一人の男が神を産む 悲しげな目と/黄ばんだ肌のユダヤ人である」(ボルヘス「バルーフ・スピノザ」)。やがてグローバル化する資本主義が起動した17世紀オランダにあって、ユダヤ教会から破門された非ユダヤ的ユダヤ人哲学者スピノザは、独自の汎神論(この世界のすべてが神だから、この世界を超越する「神さま」はいないというアクロバット)のプログラムを組み始めた。幾何学的論証形式で記されたその主著『エチカ』は今もなお、ドゥルーズやアルチュセールからネグリやバリバールに至る哲学思想を、巨大な光源として照らし出している。強烈な光に眼を眩まされつつ頁を開けば、そこにあるのは世界のソースコードにして、真の「あなたの人生の物語」だ。
(紹介文:太田 晋)

夜と霧―ドイツ強制収容所の体験記録

 人類史上最大の暗黒史あるいは人間存在のおぞましき暗部。限界状況において問われる、私たちという存在。そしてか細くも垣間見える、人間精神の強靭さと高潔さ。人間とは何か?生とは?本書に溢れる目を背けたくなるような過去の事実が、現代を生きる私たちと無関係と言い切れるだろうか。これから法を学ぶ者・法に携わる者にとっても、本書から得られる示唆は少なくない。読了後、自分を見つめ直し、自らに問いかけて頂きたい。
(紹介文:佐藤 量介)

人工知能は人間を超えるか

 人工知能の急速な発展は、人類の知性を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」の到達を予感させるが、「人類vs人工知能」という対立の図式ではなく、人類の可能性を広げる「人工知能とのつき合い方」を考えさせてくれる。本書で取り上げられた新技術「ディープラーニング」は、「人類の学び」の良きガイドでもある。
(紹介文:鋤本 豊博)

日中国交正常化

 本書は、1972年に実現した日中国交正常化のプロセスを、広範な史料に依拠しながら叙述したものである。交渉に当たった田中角栄首相、大平正芳外相の政治的リーダーシップと、期待に見事に応えた官僚たちのチームワークが生き生きと描かれている。日中関係史の本としても、田中角栄や大平正芳の伝記としても、官僚論としても、また政治過程論の教科書としても読むことが出来よう。
(紹介文:田嶋 信雄)

先生と私

 元外交官にして、作家・神学者である佐藤優氏は、“知の巨人”と紹介されることがあるが、そのように呼ばれるだけの理由がある。例えば、佐藤氏は大学時代に勉強した外国語について以下のように述べている。「大学では英語、ドイツ語とロシア語、それから専門との関係では独学でチェコ語を勉強しました。ラテン語と古典ギリシア語、コイネー・ギリシア語(新約聖書のギリシア語)は一生懸命勉強しました。ヘブライ語も一応勉強しましたが、辞書と注解書がなくては旧約聖書をきちんと読むことはできません。(旧約聖書の一部文献が書かれている)アラム語は、残念ながら勉強する機会がありませんでした」『自壊する帝国(新潮文庫)』
 こういうことをさらりと書かれると唖然としてしまう。私は大学では、フランス語・フランス文学を専門としてきたが、フランス語以外は、ラテン語(それも辞書があってもあやしい)が読めるがどうかだ。佐藤氏には逆立ちしても勝てない。
その佐藤氏が中学までどんな子供だったかを書いたのが、この本である。正直、中学時代の佐藤氏にも勝てる気がしない。多分、負ける。自分の勉強不足を思い知らされて憂鬱になるような本だ。同時に、もっと勉強しなければいけないという気になる。続編の『十五の夏』もお勧めしておこう。
(紹介文:永井 典克)

日本の近代とは何であったか−問題史的考察−

 この本は、日本近代政治史の大家が、老年期に書き下ろした日本近代史の「総論」である。現代日本の法や政治を学問的に考えるためには、日本や西欧の近現代について大きな歴史認識を持っていなければならない。歴史認識とは、高校の教科書で習うような客観的事実の羅列ではないことを、本書によって味わってほしい。
(紹介文:松田 浩)

刑法入門

 本書は、刑法研究の第1人者である著者(元東京大学教授、現最高裁判所判事)による刑法の入門書である。刑法は、犯罪がどのような場合に成立し、それに対してどのような刑罰が科されるかを定めた法律であり、「人の一生を左右する重大事」を定めているにもかかわらず、一般の人にはあまり理解されていないようである。
本書は、このような問題意識から、一般の人も知っておくべき犯罪と刑罰の概要を、平易かつ要点を得た表現で分かりやすく解説したものである。
(紹介文:山本 輝之)

Dreams from My Father: A Story of Race and Inheritance by Barack Obama

 ご存じアメリカ合衆国大統領バラク・オバマ氏による自伝です。この本が1995年に出版されるきっかけとなったのは、オバマ氏がハーバード大学のロー・スクールに在学中、学生による学術誌Harvard Law Reviewの編集長に選ばれたことです。この大変栄誉ある編集長にアフリカ系アメリカ人が選出されたのは初めてであり、アメリカで大きなニュースになりました。この自伝の出版後、オバマ氏は一躍政治家としての頭角を現し、2008年には初のアフリカ系アメリカ人大統領に選ばれて世界を驚かせました。
 しかし、後に大統領になる人物によって書かれたことを抜きにしても、この自伝はアメリカ社会が抱える「人種」という深い問題について示唆を与えてくれます。ケニア人留学生を父に、カンザス州出身のアメリカ白人を母に持つmixed raceの著者はアメリカ国内外の様々な経験の中で人種問題に直面し、苦悩します。生まれ育ったハワイの多文化社会から、幼少期の数年間を過ごしたインドネシア、西海岸ロサンゼルスの大学、東海岸のコロンビア大学。後にシカゴの貧しいアフリカ系コミュニティで活動した著者は父親の足跡をたどってケニアを訪ね、自分のルーツに出会います。この自伝は、人種の境界で揺れ動きながら自己のアイデンティティを探し求めた著者の壮大な旅の物語でもあるのです。
 何ヶ国語にも翻訳されていて日本語訳もありますが、オリジナルの英語で読むことをお勧めします。それほど難しい英語でもなく各章が短いのでさくさく読めます。大学時代に一度は洋書を一冊cover to coverで読んでみましょう。
(紹介文:佃 陽子)

『100年の難問はなぜ解けたのか』(春日真人・NHK出版)

 宇宙の形の解明につながる数学上の難問「ポアンカレ予想」。100年にも及ぶ時を経てついに解決されるに至ったが、そこには数多くの天才数学者達の栄光と挫折の歴史があった。実用的ですぐに役立つものほど価値は低いとされ、普遍的な美しさをひたすら追い求める数学は、まさに学問の中の学問。基本概念を理解し、それを用いてすばやく問題を解くことを求められる学校数学とは異質の世界である。本書によって、長らく数学に接することなく解法の技術をすっかり忘れてしまった者でも、しばし真の数学とはどういうものであったかをさりげなく実感することができる。
 他方、ポアンカレ予想を解いたのは、安定した生活を捨てすべてを数学に捧げたロシア人数学者グレゴリ・ペレリマン。彼は、数学界のノーベル賞ともいわれるフィールズ賞を初めて拒否した人物であるが、それは自分で決めた行動原理に極めて忠実に従った結果であった。その崇高で気高き精神は、効率性と物質的欲望を追求して止まない現代社会を生きる者に、一抹の清涼感を与えてくれるであろう。
(紹介文:鋤本 豊博)

『無限論の教室』野矢 茂樹 著講談社(講談社現代新書)

  大学とは、答えが用意されていない問いに取り組む場である??少なくとも私は、大学生の頃、そのように感じた。受験勉強では正解があらかじめ準備された問いに解答すればよかったが、大学の学問ではそうはいかない。答えが幾通りもありうることも、決定的な答えが見つからないことも ある。さらには問い自体を自分で見つけ出すことまで要求される。そして今は、「考える」とはそういうことであり、それこそが学問の醍醐味なのではないかと思っている。
 この本の舞台は、先生と男子学生(主人公)と女子学生の3人で行われる哲学講義である。ありそうなシチュエーションと主人公の戸惑いに共感しつつ読み進むと、気がつけば自分も同じ教室にいるかのような気分になり、一緒に腕組みして考え始めることになる。もちろん、「無限論」の内容自体は決して簡単ではないので、はじめからすべてを理解しようと意気込みすぎない方がいいかもしれない。これまで常識と思っていたことが揺るがされる感覚を味わい、難解な問いに向かっていく楽しさを感じることができたならば、「学問」への一歩を踏み出したといえるだろう。
(紹介文:足立 友子)

『基礎から学ぶ刑事法』 井田良 著(有斐閣)

 著者が大学1年のときに味わった刑法学に対する苦い思い出から、そのときに出会いたかった本を書こうという意欲に満ちた書籍であり、これから刑事法を学ぼうとする人に、何をどう学べばよいのかを示している。その取り扱う領域は、刑事法全般に及び、易しい文章でありながら、そのレベルは高く、刑事法を相当程度学んでいる者をもうならせる内容である。もしこの本をキチンと読んでも理解できなければ、転部をお勧めしたいと思う。
(紹介文:鋤本 豊博)

『カラマーゾフの兄弟』 ドストエフスキー 著

 この小説は周知の通り、文学史上最高傑作の一つと評されており、人間である以上、一度は読んでおくべきものと思われる。饒舌で偏屈な登場人物が織り成す数々の人間模様を倦むことなく読み進めるなかで、自由、良心、信仰、罪とは何か、等々現代に通じる根本問題に自然と誘われる。「大審問官」の箇所が有名であるが、個人的には「ガリラヤのカナ」に感銘を受けた。
(紹介文:西土 彰一郎)

『必読書150』 柄谷行人ほか 著(太田出版、2002年)

 「先生が勧める本など読んでたまるか」というのが、大学生としては当然の心構えであるはずです。この当然の前提を確認したうえで、しかし、どうしても勧めてほしいというあなたのために、三段階に分けて推薦書を記しておきます。
 初級編 : 柄谷行人ほか著『必読書150』(太田出版)。タイトルが示すとおり、サル扱いされないための最低限の必読書のリスト。ここにリストアップされた本を、全部読む。そう、『オデュッセイア』も『ユリシーズ』も『哲学探究』も『アンチ・オイディプス』も、全部。余裕があれば『フィネガンズ・ウェイク』(河出文庫)や『ピサ詩篇』(みすず書房)や『千のプラトー』(河出書房新社)に手を伸ばしてみるのもおつなもの。何にせよ、読むとまではいかなくとも「見る」「触る」だけで御利益がありそうな本ばかり。

 以上をマスターした人への中級編としては、雑誌『ユリイカ』(青土社)の特集「文化系女子カタログ」(2005年11月号)を。暗黙に男子のものとしてジェンダー化された「教養」の外縁で、たくましくあるいは密やかに自生する「女子文化」の一大饗宴。院生女子や文学少女から女子オタに腐女子、そしてジャニオタさらにはメガネ男子萌えに至るまでをみっちり詰め込んだこの特集号は、モテ/非モテといった区分すら脅かす破壊力を秘めている。筆者自身はやや批判的なコメントを寄せはしたものの、たとえば堀北真希に「文化系女子」を演じさせた『ダヴィンチ』誌の同様の特集に手を出すくらいなら、こちらの特集の起爆力に賭けるべきと思わせる濃密さ。必読。

 上級編 : 初級・中級をマスターしきったあなたには、もう教えることは何もない。示唆的なキャス・サンスティーン『インターネットは民主主義の敵か』(毎日新聞社)と、呆気にとられるほど面白いばるぼら『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』(翔泳社)を両手にウェブをさまようもよし、すが秀美・花咲政之輔編『ネオリベ化する公共圏』(明石書店)を片手に大学の現状に思いを馳せるもよし、森見登美彦『四畳半神話大系』(太田出版)を片手に「薔薇色のキャンパスライフ」(カギカッコ付き)を夢見るもよし、西尾維新『新本格魔法少女りすか』(講談社)と松田洋子『まほおつかいミミッチ』(小学館)における魔女表象をジェンダー視点で比較分析するもよし……。
(紹介文:太田 晋)

君たちはどう生きるか 吉野源三郎 著 (岩波文庫[青158-1]、1982年)

本書は、昭和12年に『日本小国民文庫』の一冊として新潮社から出され、現在もなお読み継がれている古典的名著の復刻版(岩波文庫版)である。中学校2年生の主人公コペル君が「おじさん」によって人間と社会への眼を開かれていくその精神的成長を追体験しながら、「社会科学的認識」の基礎を学ぶことができる。新入生の諸君には、自分の殻に閉じこもることなく、コペル君とともに、人間や社会に強い関心をもっていただきたい。そう願って本書を推薦することにした。また、人間や社会への関心は、とりもなおさず法律学の学習の第一歩でもあるのだから。
(紹介文:亀岡 倫史)

翻訳語成立事情 柳父章 著 (岩波文庫[黄189]、1982年)

この本を読むと、私たちが普段使っている「社会」、「個人」、「近代」、「恋愛」などという単語は幕末から明治にかけて、翻訳のために作られたものだということが分かります。単語がなかったということは、それまで日本には「社会」や「個人」というものの概念がなかったことを意味します。明治の翻訳者たちが苦労して単語を作りだしてくれたおかげで、「社会」などの概念が日本に現れたのです。しかし、そこには単語だけが一人歩きして、中身が伴わないという問題もあったことを著者は指摘しています。この問題は今もまだ残っているでしょう。言葉の役割について考えさせてくれる良書です。
(紹介文:永井 典克)

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