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山田ゼミ

単純には結論を導き出せない会社法
広い視野で判断するバランス感覚が大切

会社法(山田ゼミ)

指導教授:山田 剛志

法律用語を身につけるためにも、調査、発表を繰り返す

 受講対象は3、4年生だが、4年生は就活などが忙しいので、出席するのは3年生が中心となる。ゼミでは、オリジナルの会社法問題を24問解いていくことで、会社法の全範囲を概観し、1年で会社法の機関及び株式等を学習できるように組んであるという。
「ですので、欠席は許されません。その覚悟で来てください」と、真顔で語る山田教授。決して、ウケを狙うとか、サービストークではないようだ。

 山田ゼミは、毎回が発表形式で進められる。
 会社法の判例を分かりやすくした形でテーマが与えられ、それに基づいて調査。そして発表と、それに対する質疑応答というスタイルだ。
 「法律に関することで最も戸惑うのが、その表現方法、用語です。日常生活にあるようなことでも、専門用語を使って表現しますから、単語が分からなければ、何も始まらない。しかし、単語だけをしっかり学ぶ授業はない。理解し、身に付けるためには、実際に英単語のように単語帳で用語の意味を暗記すること、そして自分で使うこと。それには、あるテーマを調べて発表することが最も効果的です」

 活発なやり取りを促すために工夫も徹底している。
「ゼミ生を5組の班に分けて、発表班と質問班を持ち回りで担当してもらいます。定員は15名ですが、厳しいので満員となることは少なく、なかなか緊張感のある授業になってきます。
 事例は最初に一年分配布してありますので、1週間前にレジメを出してもらって配布し、質問班から質問を受け取って回答を用意して、当日に臨みます。何事も予習が大事なのです。準備さえしっかりしていれば、授業は実のあるものとなります。そして、もっとも重要なことは、内容が講義とリンクしているということ。まず、授業ありき、です。その演習として深く掘り下げていくのがゼミなのです。要所要所のポイントは授業で話していますので、そちらもしっかり聞いておく必要があります」

 発表はレジメをもとに、プレゼンをするスタイルなので、用語の理解と、説得力のある文章表現が重要となる。しかし、発表の際、陥りがちなのが、事例における問題点の背景が分かりにくい、または伝わらないことだという。
 まずはその点を理解してから入らなければ、本当の問題点に至ることができない。例えば、なぜ、裁判所はそのような結論を出したのか。表面に現れない事象はやはり気づきにくいもの。気づいたとしても、調べにくい。そのために、気づかないままか、分かったつもりで先に進んでしまうと、導き出された結論は、肝心な部分が抜け落ちた形となってしまいかねない。
 そんな時には、山田先生の方から疑問点を投げかけられることもある。それらを考え、明確にし、背景を理解することで、本質的な問題点も浮かび上がってくる。そして、回答者=発表者は、事前には提示されていなかった質問にも答えらえるような理解度を問われることになる。
 「瞬発力も必要ですからね。実際の社会に出たら、その場で対応する力がものを言います。そのためにも事前準備、予習をしっかりやっておくこと。さらにその場で予習してこなかった問題について聞かれることもある。そのとき必要なのは柔軟性で、どの社会においても必要なこと。しかし、学生たちの発表や質問の中には、『なるほど』とうなってしまうようなこともありますし、考えもしなかった質問や回答もあり、そんな時は私自身も勉強になりますね。例えば、若い経営者の考えることは、学生たちの方が、考え方が近いかもしれませんからね」

ゼミで会社法を学ぶことは、実社会で生き抜く力にもなる

 「自分で会社を起こす人もいるでしょうけれど、多くの人は会社に入ることになります。例えば、会社に入ってマニュアルに沿って行動する場合でも、マニュアル通りには起こらないことも多々あるわけです。それでも対処しなければならないことになる。そんな時、依って立つのは、法的な考え方です。会社の動きで、『何かがおかしい』と思うことが起きるかもしれない。そう思った時、どう行動したら良いのか。そういうことを判断する材料となるものの一つが法律なのです」
 近年、多発している、というよりは、やっと公になってきたと言えるかもしれない、会社の不祥事などに巻き込まれないように、または、未然に防ぐ、「おかしい」と引っかかる勘が働く為にも、様々な判例を知っておくことは参考になるだろう。ゼミに積極的に参加することで、これは危険な流れへの前兆だ、と、気付くことができるかもしれない。

 ゼミ生はほとんどが男性。山田先生も自ら言う通り、授業が厳しいからなのだろうか。数少ない女性に話を聞いてみる。
 「厳しいとは言っても、適宜、アドバイスも頂けますし、先生が怖いわけでもありませんよ。むしろ、会社法は、かなり身近に思えるテーマが取り上げられるので、やっていて楽しいですね」

 また、判例解説の発表に関しても、身についていると社会へ出たときに有効なスキルとなる要素が詰まっている。
 「例えば、言われたことをその通りやっただけでは、合格点ではないんです。言われたことをやるのは当たり前のこと、誰だってやります。さらに、+アルファがあって、初めて認められる。それが社会なんです。課題発表で、私が提示した事例を証明するのは基本のこと。その際に自分で調べて参考になる新たな事例を挙げて説明してみるなどすると、より分かりやすいし、新しい情報は聞く人の耳を引きつけることもできますからね。半歩先のことを加味して説明することが大切です。わかってもらう為にはどうしたらいいんだろうと考えて、行動する。ただ、2歩先へ行ってしまうと、誰にも伝わりませんから」
アドバイスをしっかり胸に留めて、ゼミの扉を叩いてみては?

メッセージ

ゼミに入る心がけ
山田先生から寄せられているのは、力強いたった一言。
「最後までやりきる覚悟」