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山田先生

報道される一面だけで語れない、
会社法を通してみるM&A。

法学部教授

山田 剛志
(やまだ・つよし)

商法、会社法、金融法

 山田先生の専門は商法、会社法、そして金融法。

 商法は、大学時代、受講する人が少なかったから、という理由で専攻したものだったが、卒業後に2年弱務めた銀行での実務体験で大学時代に学んだことが証明され、非常に興味深い分野だと実感したという。

 銀行に務めていた際に、融資などで様々なケースを見てきた経験から、現在、関心を持っているのはM&A(合併と買収)。会社法が深く関わる分野だ。テレビや新聞で報道される場面を見ていると、正対悪のように描かれているが、山田先生が語るには、実務では正対正、法律も正対正としてみるとのこと。その上で、いかに相手を説得するかということが法律だという。いかに客観的に整理、推理するか。その際に、最も説得力のあるものは客観的な理論であるとともに、決算の数字であり、会社法の世界では英語以上に共通言語だ。対象が会社である会社法は、会社というものを核とした大きな流れが見え、とても興味深い世界だという。

 そして、もうひとつが金融法。近年、頻出している金融商品の破綻事件などで取りざたされるのが、自己責任ということ。それを問うために、説明義務を研究した。その一環で、頭取の責任追及について検証して、最終的にアメリカでの研究の後、日本で論文を仕上げた。何年か研究を続けていたところ、最近また重要な案件が出てきたので、会社そのものに興味が出てきたため、最近は比較的、会社法に主軸を置いて研究している。

 かつては、説明義務の有無が明確でないまま、事例だけが山積みとなり、判決が出されていた。その審議をする中で説明義務の明確化が論議されたのだ。そして、やっと2004年に金融商品販売法という特別法で、説明義務が法律に盛り込まれた。

 前任校(新潟大学実務法学研究科准教授)勤務時に、7年間、併行して弁護士事務所に置いてもらったため、弁護士の実務も実体験として身についている。

テニスは修行、と言いつつ楽しみ、語学学習も継続中

 趣味を伺ったところ、「テニス」と意外?なお答え。さらに、「実はそれは修行です」と想像外の理由だ。銀行勤務時に楽しんだテニスを8年ほど前、再びやってみたところ、他の弁護士や女性にこてんぱんにやられ、奮起したというのだ。しかし、練習を積めば積むほど課題が見える。テニススクールにてスピードマシンでサービスを計った際には、かなり早く記録したが、フォルトも多く、『サーブは入らないと意味がない』というのがコーチの弁とのこと。「しかしたまに、うまくいくこともある」。一瞬、顔がほころぶが
「でも、そこで舞い上がると失敗しかねない。平常心を保つ。そこが修行なんです」と、あくまでも冷静さを保とうとの努力が見られる。

 また、かつて英語、独語の語学も必要に応じて学んだ。いずれも実際の場面で生かすことができ、さらに現在も継続。学習を止めると、退化してしまうのが悔しいようだ。
「今からの人生で今が一番若いわけですから、年だからというのも言いわけでしかない。修行です。——それで、最近はテニススクールを3つも行ったりして(笑)」

 計画的でアグレッシブ。このパワフルさについてこられる学生は必ずや成功しそうだ。

何事もまず全体像をつかむことが大事。そのために基礎を固める

「何事も全体像を把握してからでないと、細部を理解することはできない。法律も、事象の全体像をつかまなければ法律に照らし合わせて解決に導くことはできない」と、山田先生はいう。それは、授業の進め方でも同様で、総論をやって全体像をつかんでからでなければ、各論をやっても理解することが難しいというのだ。

 会社に置き換えていうと、まず総論を踏まえて、、設立、機関、会社の再編、そしてファイナンスという、会社の成り立ち方を一通りみて、会社とはこういうもの、という全体像を理解してから各論に入って行くことが望ましいということだ。

 そのために最も必要なことは基礎固め。徹底して基礎を確立しておくため、ゼミは授業とリンクして行われ、教科書で学ぶべき基礎を徹底させるための機能を果している。

 具体的には授業に於いて会社の全範囲を把握させる。ゼミでは授業の問題演習を行なうが、問題の解答解説は、授業で行なうので、ゼミをとるということは、授業をちゃんと受けるということが必須となる。結果として基礎がしっかり身に付くということになる。

 留意したいのは、無断欠席は一切認められず、ゼミから外れることになる、ということ。

 そういう背景に、山田先生の「人間としてあるべき姿」の持論がある。ゼミは、教師と個々の学生との信頼関係の上に成り立っているもの。無断欠席はその信頼を無にすることになる。その代わり、学生のために時間を割いて、理解できるよう親身に指導する。

 結果、精鋭が残る、ということになる。

メッセージ

「客観性と自己責任。残された時間は限られています。その時間をいかに有効に使うかで、自分の人生の意義が変わってきます。先々を見越す力をまずつけること。それがより良い結果を生むのです。」