大学院法学研究科は、高度な法律学の教育を行い、十分な研究能力や高度の専門性ある職業等に必要な能力を養うことによって、現代における政治、経済、社会問題の多様化・国際化に対応できる人材を育成することを目指して、1987 年 4 月に法律学専攻の修士課程として出発しました。
しかし、法律学研究に対する社会的な期待の高まりに応えるためには、修士課程のみにとどまらず、理論および応用の両面からこの学問に取り組み、法律学の発展に寄与し、かつ、研究者として自立した研究活動を行うことができる人材や、高度の研究能力と学識をもって高度に専門的な業務に従事することができる人材を育成するための態勢をつくることが重要であるとの認識が強くなり、1993年からは博士課程後期を設置して本格的な大学院としての研究・教育態勢を整え、今日に至っています。
本研究科は、修業年限 5 年の博士課程ですが、これは 2 年間の博士課程前期と 3
年間の博士課程後期に区分され、博士課程前期を修了することにより修士の学位を取得することができ、博士課程後期を修了することにより博士の学位を取得することができます。これまで、博士課程前期には成城大学の卒業生のほか、他大学の卒業生も多数入学し、博士課程後期にも、本研究科の博士課程前期修了者のほか、他大学大学院で修士の学位を取得した人が多数入学しています。本研究科のカリキュラムは、各教員がその専門とする分野に関する授業を行う授業科目(「○○研究」とか「○○特殊研究」という科目名になっています。)と、個々の学生がその指導教授から受ける、論文指導を中心とした研究指導で構成されていますが、研究指導はもとより授業科目においても、少人数でのゼミナール的な形態で密度の高い授業が行われています(開講科目の一覧表は別にあります。)。また博士課程後期では、必要な場合には指導教授の許可の下に、指導教授以外の教授からも論文指導を受けることができるようになっています。
本研究科では、研究指導・授業科目についてセメスター制をとっており、各科目は 2
単位が配当され半年で完結するようになっています。これにより、学生は各自の問題関心にもっとも即した科目を選択して集中的に履修することができるほか、在学中に海外留学をするような場合にもその時期を適切に選ぶことができます。各教員が開講している授業科目の内容は、その分野について一方で基礎的な研究能力を養うこと、他方で、それを踏まえて特殊・個別的なテーマを扱う能力を養うことを目指していて、前者との関連では、方法論的な訓練と基礎理論研究に力を入れ、後者との関連では、社会の最先端にある法律問題にも目を向けてこれに取り組むことができるように工夫されています。このような授業科目の内容設定は、博士課程後期においてばかりでなく、博士課程前期の教育においてもよい効果をもたらしています。また、本研究科教員(一覧表は別にあります。)の専門分野は、国内実定法の各分野を中心に、国際法、国際関係論そして国際政治史等にもわたっており、学生の多様な問題関心に応えるための努力が続けられています。
このように本研究科は、法律学研究に関心を持って大学院への入学を希望する方々が、充実した大学院生活を送り、有意義な進路を切り開いて行くことができるように努めており、今後も一層の努力を重ねて行くつもりでおります。