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田嶋ゼミ

歴史、政治を通して、
社会人、国際人を育てるゼミ

国際政治史・比較政治学 田嶋ゼミ

指導教授:田嶋 信雄

歴史への知識なくして国際関係は語れない

 グローバル社会の中で、仕事であれプライベートであれ、多くの場合、海外との接点を持つことは必至の現代。そして、諸外国との国際関係、さらには国際問題は、歴史的な出来事の上に成り立っているのだが、日本人はこの国際間の歴史認識、自国の歴史への関心という点が疎いと言われる。国際的な交流の場に於いては、まず、自国の歴史を知らなければ相手からの信用を得ることは難しい。それほど重要な国の歴史、国家間の歴史を集中的に研究していくのが田嶋ゼミだ。

 インターネットの普及の反動ともいわれるが、若者の海外旅行、海外留学人口の減少もまた、日本の将来を考えたとき、不安材料となっているが、さすがにこのゼミの学生たちは、海外の文化や人、経済などへの興味、関心が高い。

 その気持ちを尊重すべく、海外旅行などのためにゼミを欠席することがあっても、事前に届け出て、帰国後にゼミ生たちに向けて旅行報告を行なえば、出席とみなされる。

楽しくも厳しいテーマを扱うゼミの場は、意外に和やか

 ゼミは、3、4年生に向けて開講。

 前期は、テキストを読んで報告し、さらに、テキストに関わる国の都市や地域を旅行すると仮定した「仮想旅行計画」を立て、そのリポートを報告するという流れになる。毎回、数人で発表し、その内容は、対象となる都市や地域の地理、歴史といった国の概要から、ホテル、食事内容、お土産、費用といった旅行に関わる全般までを含む。これらを、パワーポイントを使って仲間のゼミ生に紹介するという形をとるのだが、これは、旅行好きには楽しい作業に違いない。資料の捜し方から、プレゼンテーションの手法、パワーポイントの使い方などまで、懇切丁寧に指導してもらえるので、将来、様々な職種に就いた際にも活用できる技術が習得できる。

 また、前期には、ゼミでの課題研究と併行して、それぞれが研究テーマを決め、それに向かって調査を進める。この際にも、随時、相談に乗ってもらったり、チェックしてもらったりという、指導を受けながら進めることができるが、この研究の発表が後期のゼミの中心となる。前期同様、研究成果のプレゼンテーションを行ない、それを元にディスカッションを繰り広げる。そして、このレポートがゼミの論文集となって記録されて行く。
 とはいっても、堅苦しい雰囲気は全くなく、おやつを摘みながら、という光景も珍しくない。教授が海外出張から帰国後のゼミでは、各地のおみやげを振舞われることもあるという。

 また、発表を受けてその場での質疑応答では、考えもまとまらず、ディスカッションも深まらないだろうことを配慮して、インターネット上に設けられた掲示板を活用し、事前に、質問や感想を投稿できるようになっている。これらに目を通した上でのディスカッションは、発言しやすい雰囲気を作り出すと共に、さらに自分の考えを深めて行くことが期待できる。

ターゲットを絞って調べることで国際関係を深く知る

 毎年、テーマを替えて史実から時代と国際関係や国際問題を紐解いていく。今年のテーマは「上海と日本人」。日中関係に特に主眼を置いているという田嶋教授だけに、より深い知識や考察を学ぶことができそうだ。

 テーマは、漠然としたものに映るが、例えば、一人の人物に焦点を当てて、その地位、生活、経済、苦悩、などを調べることから、その人の目を通した時代と社会や、歴史の大きなうねりまで見えてくるものだと、教授は話す。

 ちなみに、去年までは「現代日本の政治と外交」、「国際政治と情報」、「20世紀の東アジア国際関係」、「昭和戦前期政治外交史研究」、「人物で読む近代日本外交史」、「第二次世界大戦からアジアの冷戦へ」といったことがテーマとして取り上げられている。

積極的に海外へ出たい。リラックスして真剣に学べる環境

 3年生の学生に話を聞いてみた。
 「まだ3年生なので始まって数カ月ですが、とても丁寧に親切に教えていただけることに加え、気さくな方なので質問もし易く、とても身に付くゼミだと思います。折りに触れコンパもあり、先輩とも親しくさせていただいています。将来は貿易関係に関わろうと考えているので、これまでも海外への旅行はしていますが、このゼミは条件付きながら海外旅行も出席としてくれるので、学生のうちに積極的に海外へ出て、自分の目で見ておこうと思っています」
 意欲的な答えが頼もしい。

メッセージ

田嶋教授は、ゼミに当って「3つの心構えが必要です」という。
 「一つは、勉強しようという気持ちです。ゼミは自発的に勉強する人の集まりですから、勉強する気のない人は、ゼミに出ても苦痛を感じるでしょうし、「やる気のなさ」は他の人にも伝わりますから、私にとっても、ゼミの他の仲間にとっても迷惑です。
 二つ目は、いま社会で起きていることに関する貪欲な関心です。法律学や政治学は、社会で起きるさまざまな問題に取り組み、そのあるべき解決を求める学問ですから、社会に対しみずみずしい関心を持つことが重要です。
 三つめは、外国への関心です。国土が狭く、資源の乏しい日本は、昔も今も、好むと好まざるとにかかわらず、国際社会の中で他の国と協力しながら生きていくほかはありません。実際に外国を旅行したり、外国に住む機会があるかないかは別としても、気持ちだけでも『狭い日本に閉じこもらない』ことが必要です」